勤務医の給与は病院のタイプ、勤務地で差がありますが、労働環境の改善が課題

病院には医師をはじめ、看護師、薬剤師、臨床検査技師など多くの医療専門職が働いていますが、医師が最も高給となっています。一口に勤務医の給与といっても、勤務する病院のタイプ(国公立病院、社会保険関係法人、医療法人病院ほか)や職階でその水準には差が生じます。

開業医との給与差が広がる

厚生労働省が実施している「医療経済実態調査」のデータを病院の種類別に見てみると、給与水準がもっとも高いのが医療法人病院となっており、月額の平均給与は128万円で、最低が公的病院(日本赤十字社や済生会など)で101万円という数字になっています。

研修医の給与はこの数字に含まれていませんが、医局や病院の自由裁量で不当に低く設定されていた旧研修制度の反省を活かし、現在では月額30万以上という基準が義務化されています。

上記の数字は病院の種類による差ですが、地域や診療科目によっても大きな差があります。例えば医師父祖具が深刻な問題となっている地方都市は軒並み高い給与水準にあり、なかでも医師不足から診療時間の短縮や診療科の閉鎖などが大きな問題となった産科、小児科、救命救急などは特に高い給与(年収2000万以上)で募集を行っています。

一般の方から見れば勤務医の給与は高いと思われるかもしれませんが、長い労働時間が医療現場の疲弊を生んでいます。在院日数の短縮化が診療報酬の面で優遇されていることから、病床の稼働率が上がった結果、勤務医の仕事量が更に増えているのです。平均的な勤務医でも月の残業時間は80時間を越えるとされています。

開業医と異なり勤務医は、医療機関での宿日直という労働時間が長くなる特別な事情があります。診療時間以外の待機時間は宿日直において時間外労働と計算されないので、現在でも多くの勤務医が宿日直明けに外来で診察を行うことが日常となっています。