投薬事故を未然に防ぐ医薬分業ですが、都道府県で分業率に大きな差

入院あるいは外来の患者の薬剤を調剤するため院内薬局が病院に設置されています。調剤室には処方内容によって薬剤の保管場所や調剤エリアが決められています。

疑義照会は薬剤師の役割

薬品保管庫だけでなく、厳格な温度管理が求められる血液製剤などを保管するための冷蔵庫や冷凍庫なども用意されています。医療用麻薬を扱う専用の鍵付きの保管庫もあります。

調剤室の薬剤師は医師の処方箋に疑問がある場合は、疑義照会を行います。臓器が成長段階にある子供は薬の代謝が成人と異なりますので、小児科の患者の処方箋は特に薬剤の量を慎重に確認する必要があります。

調剤だけでなく適切な服用方法や副作用の説明を行い、これまでの服薬状況の確認を行うなどの服薬指導も院内薬局の薬剤師の役割です。上市から日が浅い薬剤は予期せぬ副作用が見つかるケースもあるため、患者から情報収集を行い、医師や看護師に伝えたりもします。

従来、患者は受け取った処方箋を院内薬局に持参して薬剤を処方してもらう「院内処方」が大半でしたが、現在は厚生労働省が「医薬分業」の方針を打ち出したことにより、処方箋を外部の保険調剤薬局に持参して薬剤を処方してもらう「院外処方」の方が多くなりました。

医師が薬を処方し、薬剤師が調剤を行うダブルチェックで投薬ミスによる事故を防ぐのが医薬分業の主眼です。また患者の待ち時間が短縮される、薬剤師の服薬指導が充実するなどのメリットもあります。

病院側にも余分な薬剤の在庫を抱え込まなくてもよい、処方や調剤ミスの減少、薬剤師の負担が軽減できるなどのメリットがあります。医薬分業率は1990年は12%ですが、現在では70%に届くところまできています。一方で分業率には地域差があり、福井県のように約30%という非常に低いところもあります。