家庭医の概念が薄い日本の患者は大病院を直接受診し、混雑に拍車

イギリスやドイツをはじめとするヨーロッパ諸国の医療システムは地域の中に「かかりつけ医(家庭医)」がおり、患者は病気になったらまずかかりつけ医の診察を受け、病状に合わせて診療所、大学病院を紹介してもらいます。

総合診療医が誕生

一方、わが国では患者はどの診療所、病院でも自由に選んで受診することが可能です。そのため、近くの診療所の医師の技量がわからない、大学病院などの大病院を受診すれば間違いはないだろうという理由から大病院を直接受診する「大型病院信仰」が未だ強く残っています。

その患者の症状が重症で、大病院で提供する高度な医療が必要であるなら問題はありませんが、実際は緊急性が低い多くの患者が大病院を受診しているため、医師の負担が増し、緊急な対応が必要な本来の患者の治療が遅れるという問題が出ているのです。そのため紹介状がない場合は、罰金の意味合いで初診料を高く設定するだけでなく、初診を拒否する大病院も出てきました。

ここにきてようやく日本でも、身近な診療所のかかりつけ医の存在がクローズアップされてきました。かかりつけ医を持てば、新たな病気にかかった場合、過去の病歴に照らして診察してもらえます。またかかりつけ医が病状を判断して受診すべき医療機関を紹介してくれるので、患者が自己判断で専門性の高い病院に行き、初診料を上乗せされたり、受診を断られることもありません。

紹介状を受け取る大病院は、その患者の最初の診察データを既に入手しているので、医師の負担も減り、治療が優先される重症患者に対応ができるなど、業務の効率化にもつながります。

ヨーロッパでは、かかりつけ医を専門の医師として考え、人材育成・教育に取り組んでいます。日本でもさまざまな病気の総合的な知識がかかりつけ医に求められるようになってきているため、総合診療医という新しい専門医の設置が決まりました。

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