チーム医療の効率化、医師不足対策として注目される特定看護師の賛否

慢性化する医師不足への対策、チーム医療のより一層の効率化を目指して、コメディカルの役割拡大が進んでいます。特に看護師の業務範囲の見直しは具 体化しており、より高度な医行為を行うために「特定看護師」の創設が検討されています。

高度な医療行為を任せられるか?

実際にアメリカで導入されていてるNP(ナースプラクティショ ナー)を参考に初期研修臨床研修さながらの実習が行われている養成コースもあります。

特定看護師の導入により、救急現場でトリアージや検査オーダーを行うことができるようになれば、緊急度や重症度の高い患者さんに迅速に対応することができます。周術期などの急性期では、患者さんの重症化防止や合併症の予防にも繋がるとの声もあります。

また、慢性期病棟の場合でも、長期間に渡って患者の病態の把握が求められる夜勤の看護師も含めて、患者さんと接する機会が多いため、患者の訴えを聞いて早急に対応できれば、満足度の上昇にも繋がると期待されています。

医療技術は高度・複雑化をたどり、医療の仕事量全体が大きく増えるなか、1人の患者に医師、看護師をはじめ、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士など 多くの職種が関わるようになっています。それにつれ医師の立ち位置も変わってきています。

法律上は医師が中心でなんでもできるようになっていますが、一人 当たりの能力は限られているから、人手不足の議論に関係なく、看護師の業務拡大は当然というのが、特定看護師構想に賛成する立場の代表的な意見です。

現場で治療全体を把握して、療養上の世話を含めて24時間患者を見ているのは看護師です。外来化学療法室や人工透析の現場など、多くの場所では医師の配置が義務付けられていますが、その多くが形式的なものです。病棟も看護師が中心的な役割を果たしています。

その一方、日本医師会は、患者の診察と治療、薬の処方などは高度な医学的判断と技術を要した医師が行わないと、患者への悪影響が出かねないとして、看護師に診察などの裁量権を持たせることに反発していますし、同様に日本薬剤師会も薬剤の処方を看護師が行うことは容認できないとしています。

反対の意見として多いのは、法に基づいて高度な医学的判断と行為を行うのが医師に与えられた責務であり、それをサポートするのが他の医療関係職種という考 え方です。長年努力して厳しい国家試験をクリアして医師を同じだけの責任を短い期間で医学を勉強した特定看護師が担えるかどうか疑問で、そもそも現在診療の補助として行っている看護師の様々な医療行為も医師が任せても大丈夫か判断を行っていると述べています。

今回の議論の発端となり、医師不足の問題についても、過去3年で医学部の定員が1000人増えたことを挙げ、急性期の現場で看護師に高度な技術を指導するよりも、既に現場に出ている研修医や医学生を早く一人前にするほうが効率が良いとしています。

さらに、看護の世界では専門・認定看護師が育っているので、新たに特定看護師を創設するよりも、こうした人たちを活用したり、給与面で優遇するほうがモチベーションも向上するのではないか、と指摘しています。

ページ先頭へ戻る